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抗酸化サプリメントは寿命を縮める

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■抗酸化サプリメント

「抗酸化」とは、酸化を防ぐという意味で、ビタミンA、C、E、ベータカロチンなどが、抗酸化作用があるサプリメントとして知られています。

抗酸化作用をうたうビタミン販売会社は以下のような説明をしています

1.酸化とは、リンゴの色が変わったり、油が変質したり、鉄がさびたりする現象で、体の中でも起こっている。

2.呼吸で吸い込んだ酸素の一部は、体に有害な活性酸素(フリーラジカル)に変わる。

3.活性酸素は、大気汚染、放射線、紫外線、化学薬品、たばこ、農薬などによって増加する。

4.体の中には、活性酸素を無害化する酵素(抗酸化酵素)があるが、活性酸素が多すぎると生産が間に合わなくなる。

5.抗酸化作用のある、サプリメントを飲んで、活性酸素の害を防ぎましょう。

一見、もっともに聞こえる話で、ビタミンA、C、Eやベータカロチンを常用している人も多くいます。しかし、この説明を覆す調査結果が発表されました。

■抗酸化サプリメントは寿命を縮める

コペンハーゲン大学病院の研究者が、2007年2月に、アメリカの医学雑誌(American Medical Association Study) に、抗酸化サプリメントと死亡率の関係を発表しました。

https://jamanetwork.com/journals/jama/article-abstract/205797

この研究では、合計23万2606人におよぶ対象者、68の無作為研究、385の論文を調査しています。

(1) ベータカロチンは 7%、ビタミンAは 16%、ビタミンEは 4% 死亡リスクを高める。

(2) ビタミンCとセレンは、死亡リスクを高めない。

といった、調査結果がまとめられています。

■人間の体は試験管ではない

ビタミンA、C、E、ベータカロチンが不足すると、人の健康に悪影響があるのは事実ですが、過剰摂取も問題です。

ビタミンは通常の食事で摂取するのが基本で、その範囲内で摂る分には悪影響が出ることはありません。問題なのは、通常の食事では摂ることのないような大量のビタミンをサプリメントで摂取することです。上の研究では、このような問題を示唆するものです。

抗酸化サプリメントは、体内の過剰に存在する活性酸素を除去するという説明がされていますが、これは、「体内には、生体がもつ抗酸化酵素では消せないほどの活性酸素がある」ということが前提になっています。しかし、本当にそのような過剰の活性酸素が存在し、体にダメージを与えているのでしょうか?

抗酸化サプリメントの説明では、活性酸素の害を煽るばかりで、実際の活性酸素の量についての科学的説明はされていません。

活性酸素は悪役とばかり考えられていますが、体内では細菌やウイルスの除去に役立っています。また、体内では、酸化反応を使った毒物の代謝も重要な生体維持の仕組みです。

過剰な抗酸化サプリメントは、本来必要とされる活性酸素を奪って、細菌感染を助長する可能性もあります、肝臓で酸化酵素の働きを妨害して、毒物代謝を遅れさせるとも考えられます。そのような、負の作用が働いて、結果として死亡リスクを高めるとも考えられます。

極端な還元状態のように恒常性が保たれていない状況も危惧されるべきでしょう。

いずれにしても、このような事実を客観的に受け止め、サプリメントブームに安易に流されない姿勢は持ちたいと思います。